「御朱印フォント」を集めてみたよ
(以前、執筆したけどお蔵入りになった記事を折角なのでブログに公開します。)
歴史や伝統ってなんだか高い敷居がある感じ。長く続くものを守るのも良いけど、せっかくの良いものが広まらないのはもったいない。もう少し身近に感じられたら良いな、そう思って「歴史×かわいい」視点で見たり書いたり作ったりしています。
御朱印
お寺や神社をお参りした証である御朱印。単なるスタンプとは違い、神仏に敬意を払って頂いた貴重なものです。
手書きで書き上げて頂ける御朱印は、ひとつとして同じものはありません。 見た目や筆づかい、押し印などオリジナリティ満載。
今回は、そんな御朱印の「フォント」に着目して(独断と偏見で)まとめてみました! 渋いだけじゃない、丸っこかったりエレガントだったり、色々な顔を持つ「御朱印フォント」を、私が実際に頂いたものの中からご紹介します。
角丸フォント
京都の貴船神社は、山の中にあってとても神聖な雰囲気に包まれた神社。水の神様をお祀りしています。 縁結びの神様としても有名。
御朱印は書いて下さる方によって字も違うのですが、頂いた時はは丸みのある優しい字を書いて頂きました。筆遣いの渋い字+角丸。
「神」の丸さとまっすぐに伸びた直線が、個人的にツボ!水滴が滴るような情緒を感じます。葵と菊の花の判子も可愛い!ガーリーな雰囲気を感じます。
伊勢神宮―外宮・内宮・月夜宮
伊勢神宮とは三重県にある125社のことを指します。そのうち、御朱印を頂けるのは7社。 御朱印のデザインが統一されています。
その中でもフォントが可愛いなと思ったのは、この3社の御朱印。シンプルに削ぎ落とされたデザインで、思わず見入っちゃう。ロゴのようにも見える、まとまり感!
御朱印って達筆な字で書かれているイメージがありますが、こういった押し印のみのものもあって多種多様。象形文字を思い起こさせるようなカタチ。このフォントは、篆書体と呼ばれるもの。月の字が横向きで、三日月のよう。趣があります。よく見ると、3社で共通するはずの文字(「宮」の字とかです)がそれぞれちょっとずつ違います。4文字のまとまりの中で、きちんとデザインされています。きれいだなぁ・・・
伊勢神宮 外宮正宮・内宮正宮 〒516-0023 三重県伊勢市宇治館町1
錦天満宮
朱と墨のコントラストが綺麗な御朱印。角が無い字!
京都の街中にあって、地元の人々に親しまれている錦天満宮の、あたたかな雰囲気が出ているように感じます。
絶妙な強弱とかすれ具合で貫禄がある。隷書調の押し印もどっしりとした印象です。収まりが気持ち良いなあ。
錦天満宮 〒604-8042 京都市中京区新京極通り四条上る中之町537番地
アートフォント
浅草寺で頂ける聖観世音菩薩の御朱印。流れるような字が芸術的!達筆すぎます! 一枚の紙の中で、全てのバランスが気持ちよく整っている草書体。
一番始めの文字は梵字で「聖観世音菩薩」の意味があります。強めの墨だまりと細い線のコントラストが美しい。惚れ惚れしちゃう。
吉原弁財天
絵と書が融合した、どこか現代っぽいアート御朱印!アート度MAX !
吉原の「よし」が蛇のように描かれています。弁財天の遣いが蛇であることにちなんでいます。ちろりと出した舌とシッポで文字が囲われていて、そのカタチも琵琶のよう。完成度高すぎ。
吉原神社一帯は、かつて吉原遊郭があった場所。神社や、ご近所の方の中には、まだ当時を知っている人もいらして、 実際にお話を伺うと遠い昔のことではないんだなぁと不思議な感覚になります。
観蔵院
アーティスティックすぎる梵字御朱印として有名な観蔵院の御朱印。 梵字は「不明王」を意味します。
日本画を描くとき等に使われる、平筆を使用しているので、よく見る御朱印とはまたひと味違う!薄墨部分が文字に奥行きを出しているようで美しいなあ。
細身で書かれたお手本のような字と、梵字とのコントラストもたまらないです!
観蔵院 〒177-0035 東京都練馬区南田中4-15-24
エレガントフォント
東京大神宮
神楽坂に鎮座する、東京のお伊勢さんこと東京大神宮。
これぞ御朱印!って感じの見た目。整った行書と、余白のバランスが、洗練された雰囲気を出しています。
御朱印って、そのお寺・神社の場所の空気を表しているなと思うことがあります。ちなみに東京大神宮は、日本で初めて神前結婚式が挙げられた神社なので、恋愛成就のパワースポットとしても有名。女性が多く参拝している印象です。お守りも可愛いものが多い!サイトも綺麗です。
東京大神宮 〒102-0071 東京都千代田区富士見2-4-1
日本各所で様々な大黒天の御朱印が頂けますが、そんな大黒天シリーズの中で一番のお気に入りがこちら。浅草寺にある浅草名所七福神の御朱印です。
押し印と「大」の字の呼応がキレイ! 文字と押し印が相乗効果を出してるデザイン。 いつまでも見てられる...!
細身で、左へゆったりと流れる字がエレガント。重厚さと清潔感があります。
竹林や庭園で有名な京都の天龍寺。こちらの御朱印は判子を押したものを頂けます。
THE 日本の筆文字って感じの端正な字。白舟書体のシリーズを思い出しました。
右上は「霊亀山」、左下は「天龍禅寺」と書かれています。
天龍寺 〒616-8385 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
毛筆フォント
紙からはみ出さんばかりで迫力ありすぎ!な京都・清水寺の御朱印。京都と言えば、と言っていいくらい有名なお寺です。最近はクオリティの高いInstagramも人気。
「大悲閣」と書かれています。観音様を祀るお堂のことをこう呼びます。
清水の舞台のような存在感と貫禄。墨の強弱と、全体的に縦に伸びるフォルムがカッコいい!筆運びが軽やかで、書いて下さっているところをまじまじと見入ってしまいました。
清水寺 〒605-0862 京都府京都市東山区清水1丁目294
そうだ、京都行こうのCMでもおなじみの東福寺。
御朱印は、豪快さと清潔感が共存している書体。ストロークの強弱に強い癖があります。
上の押し印は、東福寺の寺紋「九條家下がり藤」。雅な紋デザインだなあ。
東福寺は、通天橋の上から見る季節の彩りや、モダンなお庭なども楽しむことが出来ます。 市松模様のお庭とか有名。格調高いんだけど遊び心があって、且つ削ぎ落とされたお庭のデザインはデザイナー心を揺さぶります!
東福寺 〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目778
被官稲荷神社
浅草神社の脇にひっそりとある被官稲荷神社。江戸時代に作られたお社が、関東大震災や東京大空襲を逃れて今もたたずんでいます。
浅草の中心にあるにも関わらず静か+奉納されたたくさんのキツネの人形。めちゃめちゃ雰囲気あります。キツネに化かされそう...って思っちゃったり。
御朱印は、かわいらしいお稲荷さんの押し印がたまらない!横に広がる癖のあるフォント。特に「神」の字の角張り具合が、良い味出してます。
被官稲荷神社は、絵馬やお守りも、キツネモチーフなので可愛いです。
ちなみにこちらの神社、時代劇ドラマや小説、歌舞伎などでおなじみ、新門辰五郎のゆかりの場。江戸時代が近く感じられる場所です。
被官稲荷神社 〒111-0032 東京都台東区浅草2-3-1
かわいらしい御朱印も多く売られるようになったので、選ぶのも楽しい最近。お参り+御朱印で、より寺社仏閣を堪能するのもアリ!だと思います。